採用と資格の関係性

介護施設には、運営上欠かせない有資格者がいます。ケアマネージャーは、介護サービス利用者の要介護度認定において欠かせない職種です。介護サービスを紹介する福祉事務所には必須の資格で、一定の需要があります。また、介護現場は介助を行うスタッフの慢性的人手不足に悩まされていて、利用者の身体介護に携わり第一線で活躍する介護福祉士などの有資格者の需要も高いと言えます。

身体介護は利用者の身体に直接触れる業務なので、利用者の身体に負担をかけることなく効率的に介助するスキルが欠かせません。そこで、身体介護を行うスタッフは、原則として介護福祉士や介護職員初任者研修などの資格を持つことが求められています。ただし、有資格者だけを採用していたら現場の人手不足を解消できないため、無資格者であっても採用され、現場で働きながら研修を受け資格取得を促すケースも少なくありません。

それから、介護職は体力的な部分で負担がかかりがちな職業でもあるため、スタッフの定着率が高くないことも否定できないでしょう。こうした現状を打開し高まる需要に応えるため、介護現場では処遇改善加算の制度が導入されて職員の給与を上げる工夫がなされています。特に、身体介護において重要な役割を果たす介護福祉士については、一定期間の実務経験を経れば事業所の責任者が認定することにより特定処遇改善加算を得られる制度も活用できることになりました。全産業の平均年収まで介護福祉士の給与を上げる特定処遇改善加算制度によって介護福祉士の定着化が図られ、介護職の供給も安定化するのではないかと期待されています。